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EC English(ECマルタ)が全校閉鎖|今すべきことと学費の行方

ライター
Noguchi Kazuki
マルタ総合情報サイト「マルタポータル」編集・運営。これまで留学領域に携わり、学習目的や渡航条件が異なる方でも判断しやすいよう、費用・渡航ルート・滞在方法・手続きなどを比較しながら整理する記事制作を行っています。
自身もマルタ、フランス、スペインへの渡航経験があり、現地で感じた「移動のしやすさ」「治安」「生活コスト」「英語環境」など、検討時に迷いやすいポイントを一次情報と照合しながら分かりやすく解説します。制度や料金など変動しやすい情報は、公式サイト等を参照し、必要に応じて内容を更新しています。

この記事の書き手について(利害の開示)

マルタポータルは株式会社Crepity(U-GAKU / Malta Portal)が運営しています。当社は EC Malta の正規代理店契約を結んでいましたが、現在、当社経由で渡航前または滞在中の EC の生徒はいません。また現在、ACE English Malta および Gateway School of English の取次を行っています。

本記事の本文では特定の代替校を推奨しません。代わりの学校のご提案は、記事内ではなく無料相談で個別に行います(当社で手配できる学校とそうでない学校を分けてお伝えします)。記載した事実は末尾の一次情報に基づいています。誤りを見つけられた場合はご指摘ください。

2026年9月14日、マルタ発祥の大手語学学校グループ EC English Language Centres が、マルタを含む全25校・7地域での事業を即日停止すると発表しました。1991年の創業から35年、年間4万人以上を受け入れてきた業界最大手級の突然の閉鎖です。

この記事では、いま現地にいる人・これから渡航予定だった人が具体的に何をすべきか、支払った学費はどうなるのか、そしてなぜ最大手が閉鎖に至ったのかを、一次情報をもとに整理します。

【2026年9月17日 追記】その後に確認できたこと

  • EC は正式な倒産手続き(insolvency/administration/winding up)に入ると表明しました。マルタ法人も清算手続きに向かっており、マルタでは約100名の従業員が9月14日付で解雇通知を受けています。
  • FELTOM の加盟校はEC の学生を受け入れる方向で協力の意欲を示しており、調整が続いています(受け入れ校数や追加費用の有無は本稿執筆時点で未確定です)。まだどこからも連絡が来ていない方は、FELTOM に直接連絡してください。
  • 3章で「確認が取れていない」としていたマルタの学費保護制度について、根拠法にあたって確認しました。結論は3章に追記しています。

【9月19日追記】EC の閉鎖から4日後の9月18日、カナダ最大級の語学学校 ILAC も破産保護を申請し、即日閉鎖しました。大手が相次いで倒れています(詳細は第4章の末尾に追記しています)。

1. 何が起きたのか(時系列)

  1. 9月10日 世界中の提携エージェントに通知。「予見できない運営上の事態により、今週末に到着予定の新規学生を受け入れられない」とし、学生へ直ちに連絡するよう要請。
  2. 9月12〜13日 到着予定だった学生の受け入れを停止。すでに航空券を手配済みの学生が各国で足止めに。
  3. 9月14日(日) 英語教育および取引を即日停止すると発表。翌15日は最小限のスタッフのみが対応。
  4. 9月19日(土)まで すでに EC の滞在先にいる学生については、宿泊と生活面のサポートを継続。その間に帰国・移動の手配を進めるとされています。

閉鎖の理由として EC は「困難な財務状況と、追加出資の確保に失敗したこと」を挙げています(CEO Andrew Mangion 氏)。

なお、今回の全校閉鎖は突然に見えますが、予兆はありました。EC は2026年6月に英国ブリストル校を閉鎖し、9月末にはカナダ・モントリオール校の閉鎖を予告していました。段階的な縮小の末の全面停止です。

閉鎖の規模

  • 対象:全25校/7地域(英国・アイルランド・カナダ・アメリカ・UAE・南アフリカ・マルタ)
  • 受入規模:年間4万人以上(ピークの2019年は約5万人)
  • 創業:1991年、マルタ

2. いま該当する人がすべきこと

A. すでにマルタ(または他国の EC 校)に滞在している場合

  1. 宿泊先の確保を最優先に。EC の滞在先には9月19日までいられるとされています。それ以降の宿を早急に手配してください。
  2. マルタでは ELT Council(政府の語学学校監督機関)と FELTOM(マルタ語学学校連盟)が対応を調整中です。FELTOM は加盟校と連携し、学生の受け入れについて協議していると表明しています。
  3. 書類をすべて保存してください。支払いの証明、入学許可証、領収書、EC からのメール。返金請求でも保険請求でも、後から必ず必要になります。
  4. 海外旅行保険を確認してください。契約内容によっては、サービス提供者の破綻に関する補償が付いている場合があります。
  5. エージェント経由で申し込んだ方は、まずそのエージェントに連絡を。学校との契約関係がどうなっているかで、取れる手段が変わります。

B. これから渡航する予定だった場合

  1. 渡航しないでください。学校は開いていません。
  2. 「誰に」支払ったかを確認してください。学校へ直接送金したのか、日本のエージェントに支払ったのかで、その後の手続きがまったく変わります。
  3. 航空券・宿泊の取消手続きは早いほど傷が浅くなります。
  4. クレジットカードで学校に直接支払っていた場合は、カード会社に事情を説明し、支払いの取消(チャージバック)が可能か相談してください。条件はカード会社ごとに異なります。

EC に申し込んでいた方・代わりの学校を探している方へ

状況をうかがったうえで、代わりの学校の候補、切り替えにかかる費用の目安、渡航までにやることを整理します。当社で手配できる学校とそうでない学校を分けてお伝えするので、比較の材料としてお使いください。

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3. 支払った学費はどうなるのか

まず事実として、EC の規約(Terms & Conditions)には「EC が入学後にプログラムをキャンセルした場合、既に支払われた金額は全額返金する」と定められています。

ただし、規約にそう書いてあることと、実際に返ってくるかは別の問題です。会社が支払不能に陥った場合、学生や代理店は債権者のひとりとして扱われます。

重要なのは、国によって学生の保護の仕組みがまったく違うことです。

  • カナダ:Languages Canada の品質保証の枠組みにより、学費は「認定を受けた他校の同等プログラムへの転籍」という形で保護されます(Education Completion Assurance Plan / eCAP)。現金での返金ではなく、学習の継続によって守るという考え方です。
  • 英国:English UK が会員校と調整し、追加費用なしで他校でのコース継続を可能にする方向で動いています。緊急の宿泊支援も表明されています。
  • マルタ:FELTOM が ELT Council および加盟校と協議中です。支援の意向を示している学校として、Alpha School of English、AM Language、BELS Gozo、BELS Malta、Berlitz English Language Academy、Cavendish School of English、Clubclass English Language Campus、Easy School of Languages、European School of English (ESE)、IELS、inlingua School of Languages、NSTS English Language Institute、Sprachcaffe Languages Plus の名前が挙がっています。

マルタに学費を守る公的制度はあるのか(9月17日 追記)

9月15日の公開時点では「確認が取れていない」と書きました。その後、根拠法にあたって確認しましたので、結論を書きます。

マルタの語学学校の認可は、2015年法律公告221号(English Language Teaching Council Regulations, 2015/教育法 Cap. 327 に基づく規則)が根拠です。この規則の全文を確認したところ、保証金・供託金・保険・エスクローなど、学生が前払いした学費を保護する規定は一つもありませんでした。

同じ規則の別表2が定める手数料は、学校ライセンスの新規取得が200ユーロ、更新は学生週数に応じて100〜400ユーロです。年間12,000学生週を超える最大区分でも400ユーロ。つまりマルタの ELT 認可は、教育の質・施設・スタッフの資格を審査する制度であって、学校の財務を担保する制度ではありません。

これとは別に、マルタにはパッケージ旅行倒産基金(Package Travel Insolvency Fund|2016年法律公告315号、マルタ観光局MTA所管)があります。ただし対象はMTAのライセンスを持つ旅行業者から、2つ以上の旅行サービスを組み合わせた商品として購入した場合に限られ、請求にはその業者が発行した証明書(MTAライセンス番号入り)が必要です。MTAは「リストに載っていない業者から購入した場合、倒産時に請求はできない」と明記しています。学校から直接コースを申し込んだ場合、この基金の対象になる可能性は高くありません。ただし確認にお金はかかりません。申込書類のなかにMTAライセンス番号入りの証明書がないか、一度探してみてください。

⚠️ 「認可校だから学費は守られている」は誤りです。

マルタの ELT 認可は教育の質を見る制度であり、支払ったお金の保全とは関係がありません。学費が守られるかどうかは、認可の有無ではなく、お金がいつ誰に渡るかと学校が提供できなくなったときの取り決めが書面にあるかで決まります。今回の件の核心はここです。

4. なぜ最大手が閉鎖に至ったのか

「経営が下手だったから」で片付けると、本質を見誤ります。数字を見ると、これは業界全体の構造変化の話です。

  • 世界の ELT(英語語学留学)の学生週数は、2024年に12%、2025年にはさらに23%減少しました。
  • 一方で学生数の減少は2024年が7%、2025年が10%。人数より「滞在の長さ」のほうが大きく落ちています。
  • 平均滞在期間は2022年の8.3週から2025年には6.5週へ。過去10年で最短です。
  • 調査会社 Bonard は、2026年も3年連続の減少になる可能性が高いとしています。
  • マルタに限ると2024年は、学生の到着数が80,900人(前年比+3.0%)と増えた一方で、学生週数は8.7%減少しました。

語学学校は、校舎・学生寮・常勤講師という固定費を「滞在週数」で回収するビジネスです。来る人数が同じでも、一人あたりの滞在が短くなれば売上は落ちます。規模が大きく直営設備を多く抱える学校ほど、この変化に弱い。

さらに、縮小する市場で生徒を取り合うなかで、学校がエージェントに支払う手数料が「持続不可能な水準」まで上昇していたことも業界内で指摘されています。売上が減るなかで販売コストが上がる——この二重の圧力が、最も規模の大きい事業者を先に押し潰した、というのが実態に近いと考えられます。

【9月19日追記】カナダ最大級の ILAC も、4日後に破産申請

EC の閉鎖からわずか4日後の2026年9月18日、カナダのトロント・バンクーバーに校舎を持つ ILAC(International Language Academy of Canada)が、破産・倒産法(Bankruptcy and Insolvency Act)に基づく破産保護を申請し、即日で全授業・全プログラムを停止しました。30年以上の歴史を持つ、カナダでも最大級の語学学校です。管財人には KPMG Inc. が選任されています(同校の声明より)。

注目すべきは理由の違いです。EC は「財務状況の悪化と追加出資の失敗」を挙げましたが、ILAC は「過去3年間の、業界に影響する大きな規制の変更」を理由に挙げています。カナダでは2024年以降、留学生の受け入れ数に上限が設けられ、就学許可の要件も段階的に厳しくなってきました。マルタの EC は市場の縮小、カナダの ILAC は規制——引き金は違っても、固定費の重い大型校が需要の減少に耐えられなくなったという構造は同じです。

カナダには前述のとおり Languages Canada による学費保護の枠組み(eCAP)があります。ILAC の学生への適用条件は同団体の案内をご確認ください(本記事の執筆時点では公式発表を確認中です)。

5. これから語学学校を選ぶ人が確認すべきこと

今回の件で「マルタ留学は危ないのでは」と不安になった方へ。冷静に見れば、これは特定の1社が閉鎖したという話です。マルタには ELT Council の認可校が33校あり(2026年7月版の公式リスト。EC を含む数なので、今回の閉鎖を反映すると32校)、大半は通常どおり運営されています。

そのうえで、学校を選ぶときに確認しておくとよい点を挙げます。

  1. 認可の有無:マルタでは ELT Council の認可を受けた学校かどうか。
  2. 業界団体への加盟:FELTOM の加盟校かどうか。今回のように問題が起きたとき、業界団体が動く余地があります。
  3. お金が「いつ」「誰に」渡るか:申込時に全額が学校へ送られるのか、渡航直前なのか。学校に渡ってしまった後だと、取り戻すのは格段に難しくなります。
  4. 「学校が提供できなくなったとき」の取り決めが書面にあるか:エージェント経由なら、その利用規約に提携校が倒産・事業停止した場合の条項があるかを読んでください。書かれていなければ、そのとき何が起きるかを誰も約束していない状態です。
  5. 支払い方法:クレジットカード払いは、カード会社による保護が働く余地があります。

1つ目の「認可の有無」について補足します。3章で確認したとおり、ELT Council の認可は教育の質を見る制度で、学費の保全は含みません。認可の有無は「教える中身が一定の水準にあるか」の判断材料であって、「お金が守られるか」の判断材料にはなりません。後者は2つ目以降の項目で判断してください。

⚠️ 規模の大きさは、安全を意味しません。

EC は年間4万人を集める最大手でした。「大手だから安心」という基準は、今回の件で機能しないことがはっきりしました。見るべきなのは知名度ではなく、お金の流れと、問題が起きたときの取り決めが書面にあるかどうかです。

当社の対応(開示)

上の4番目を自分たちに当てはめると、当社の規約にも同じ穴がありました。そのため今回の件を受けて、マルタ留学の利用規約に、提携校が倒産・事業停止等によりコースを提供できなくなった場合の条項を新設する改訂を決め、規約文書への反映を進めています(2026年9月15日)。具体的には、当社が学校へまだ送金していない分は手数料を差し引かず全額返金すること、送金済みの分については当社の費用と責任で返金請求・債権の届出を行うこと、代替校の手配に追加手数料をいただかないこと、そして学校への送金をクーリング・オフ期間の経過後、かつ支払期限に照らして不相当に早い時期には行わないことを定めています。

他社を批判する意図はありません。ただ、この点はどのエージェントを使う場合でも、申し込む前に確認しておく価値があると考えています。

6. よくある質問

Q. EC のマルタ校だけが閉鎖したのですか?

いいえ。全25校・7地域すべてが対象です。マルタ、英国、アイルランド、カナダ、アメリカ、UAE、南アフリカのすべての校が事業を停止しました。マルタ校の閉鎖前の情報(コース・費用・設備)はEC Malta完全ガイドに残しています。

Q. 一時的な停止で、再開する可能性はありますか?

EC の発表は「教育および取引の即時停止」であり、再開の予定は示されていません。再開を前提に待つべき状況ではありません。

Q. マルタ留学そのものを見送るべきでしょうか?

その必要はないと考えます。マルタには ELT Council の認可校が33校(EC を除くと32校)あり、大半は通常どおり運営されています。ただし学校選びの基準に「経営の安定性」と「お金の流れ」を加えることをおすすめします。前章のチェックリストをご覧ください。

Q. EC に申し込んでいましたが、どこに相談すればよいですか?

エージェント経由の場合はまずそのエージェントへ。直接申し込んでいた場合は、マルタの ELT Council および FELTOM が対応を調整しています。あわせて、支払いに使ったクレジットカード会社と、加入している海外旅行保険の窓口にも確認してください。当社でも無料相談で状況の整理と今後の選択肢のご案内を行っています。

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出典・一次情報

最終更新:2026年9月19日(ILAC の破産申請を追記)。状況の進展に応じて更新します。