マルタの税金|居住者が知るべき所得税・VAT・二重課税の仕組み
INDEX 目次
「マルタの税金ってどんな仕組み?」
「税率は高い?日本との二重課税はどうなるの?」
海外移住や留学を考えたとき、税金の仕組みは想像以上に不安になるポイントです。特に所得税の計算方法や、マルタと日本のどちらで申告すべきなのかは分かりづらく感じますよね。
結論から言うと、マルタの税制は“居住ステータス”によって課税範囲が大きく変わるのが特徴です。さらに、日本との間には租税条約があるため、正しく手続きを行えば二重課税は回避できます。
- マルタ留学や移住を検討しており、税金制度を事前に理解しておきたい人
- マルタでアルバイトや収入を得る予定があり、税金や確定申告の仕組みを知りたい人
- 日本との二重課税や税務手続きについて不安を感じている人
この記事では、マルタの税金制度の全体像から、個人所得税の仕組み、VAT(付加価値税)、日本との関係までをわかりやすく整理します。移住・留学・海外就労を検討している方が、事前に押さえておくべき税務の基本を網羅的に解説します。
マルタの税金制度の概要:居住者と非居住者の違い

マルタの税制は、個人の居住ステータスと本拠地(Domicile)に基づいて課税範囲が決定される点が特徴です。この違いを理解することが、マルタでの税金管理の出発点となります。
居住者(Resident)とは、マルタに年間183日以上滞在する個人のことを指します。多くの日本人移住者や留学生は、マルタに居住していても本拠地は日本にあるとみなされるケースが多いです。この場合、マルタ国内で得た所得と、海外で得た所得のうちマルタ国内に送金されたもののみが課税対象となります。一方、非居住者は、マルタ国内で発生した所得に対してのみ課税されます。税率構造は、累進課税制度を採用しており、所得が増えるにつれて税率が段階的に高くなります。
居住ステータスによる課税範囲の違い
| ステータス | 課税対象となる所得 |
| マルタ居住・マルタ本拠地 | 全世界の所得 |
| マルタ居住・非マルタ本拠地 | マルタ源泉所得と、海外所得のうちマルタに送金された所得 |
| 非居住者 | マルタ源泉所得のみ |
(参照:https://www.gov.mt/en/Life%20Events/Pages/Moving%20to%20Malta/Moving-to-Malta.aspx.)
マルタの税金:個人所得税(Income Tax)の計算方法と優遇

マルタの個人所得税は累進課税制度に基づいており、所得額に応じた税率が適用されます。この税率構造が、マルタの税制が有利と言われる理由の一つです。特に、年間所得が比較的低い層や、扶養家族がいる家庭にとって優遇措置が大きくなります。
所得税の計算に適用される3つの税率区分
マルタの所得税率には、単身者(Single Rate)、夫婦合算(Married Rate)、親レート(Parent Rate)の3つの区分があり、それぞれで異なる控除枠と税率表が設定されています。例えば、単身者の場合、所得が9,100ユーロ以下であれば非課税となります。税率は最大で35%に達しますが、多くの所得帯でEU平均よりも低い水準に設定されています。自分の所得見込み額とステータスを照らし合わせ、どの税率区分が適用されるかを確認することが重要です。適切な申告を行うためにも、専門家である税理士(Tax Consultant)に相談することが推奨されます。
マルタの税金:付加価値税(VAT)とその他の間接税

マルタの主要な間接税は付加価値税(VAT)であり、日本でいう消費税にあたります。これは、商品やサービスの最終的な消費者が負担する税金です。
VATの標準税率と軽減税率について
マルタのVATの標準税率は18%ですが、生活必需品や特定のサービスに対しては軽減税率が適用されます。例えば、宿泊サービスや電気料金などには7%や5%の軽減税率が適用される場合があります。書籍や医薬品、一部の食品などに対しては、さらに低い税率が適用されるケースもあります。このVATは、企業が商品やサービスを提供する際に追加して請求されるため、購入時に意識することになります。
VAT以外の間接税

マルタにはこのVATの他に、不動産取引時に発生する印紙税(Duty on Documents and Transfers)や、特定のホテル宿泊者から徴収される環境税(Eco-Contribution)などの間接税も存在します。日常生活においては、VATの仕組みと軽減税率の対象を理解しておけば十分でしょう。
(参照:https://taxsummaries.pwc.com/malta/corporate/other-taxes.)
マルタの税金と日本:二重課税の回避措置

マルタに移住・留学する際に最も懸念されるのが、日本とマルタの両国で税金を支払う二重課税の問題です。しかし、日本とマルタの間には「日・マルタ租税条約」が締結されているため、この二重課税は適切に回避されます。
この租税条約の目的は、両国間の経済活動を促進するために、所得に対する二重課税を防ぐことです。具体的には、ある所得がどちらの国で課税されるか、あるいはどちらの国が課税権を優先して持つかを明確に定めています。例えば、マルタに住みながら日本国内の企業から収入を得ている場合、条約に従って一方の国での税金が控除(外国税額控除)される仕組みです。ただし、この租税条約を正しく適用するためには、両国の税務当局に対して適切な申請と申告を行う必要があります。
(参照:https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2015/2015honbun_p/pdf/2015_03-01-03.pdf.)
マルタの税金:移住者が特に注意すべき手続き

マルタでの生活を始める日本人留学生や移住者が、税務上のトラブルを避けるために特に注意すべき点がいくつかあります。これらの手続きを怠ると、予期せぬ追徴課税や罰則の対象となる可能性があります。
重要な手続きと注意点:
- 税務番号の取得(Tax Identification Number – TIN): マルタで収入を得る予定がある場合は、まずマルタの税務当局からTINを取得する必要があります。これは、納税申告や雇用契約に必須となる番号です。
- 確定申告(Tax Return): 課税対象となる所得がある場合は、毎年6月末までに前年分の確定申告を行う必要があります。期限を過ぎると罰金が科されるため注意が必要です。
- 銀行口座の開設と資金移動: 日本からの大きな資金移動を行う場合、税務上の記録を残すためにも、その資金の出所(送金元)を明確にしておくことが推奨されます。
留学やワーキングホリデーで一時的に滞在する場合でも、アルバイトなどで収入を得た場合は納税義務が発生します。税務申告の要否が不明な場合は、早めに専門家に確認しましょう。
(参照:https://mtca.gov.mt.)
マルタの税金に関するよくある質問(FAQ)

Q. 留学生もマルタで税金を払う必要がありますか?
A. はい、マルタ国内でアルバイトなどの収入を得た場合、その所得に対してマルタの税金を支払う義務があります。収入がない場合は基本的に申告の必要はありません。
Q. 日本との間で確定申告を二度行う必要がありますか?

A. 日本の非居住者として扱われる場合は日本での申告は不要ですが、日本の居住者として日本に申告する場合は、マルタで支払った税金について「外国税額控除」の適用を受けられます。税務状況によって異なりますので、専門家に相談が必要です。
Q. VATの還付(タックスリファンド)は可能ですか?
A. マルタ国外に居住する旅行者は、一部の商品購入においてVATの還付(タックスリファンド)を受けることが可能です。出国時に空港で手続きを行う必要がありますが、対象店舗や最低購入金額の条件があります。
Q. マルタの非居住者でもTINの取得は必要ですか?
A. 非居住者であっても、マルタ国内に源泉のある所得(例:マルタでの不動産収入など)が発生する場合は、納税のためにTINを取得する必要があります。
Q. 所得税の優遇税率を利用できるのはどのような人ですか?

A. マルタには、高度なスキルを持つ専門家や特定の投資家など、特定の条件を満たす外国人に対して優遇税率(例:15%)を適用するプログラムが複数存在します。これは、一般的な留学生や移住者向けの制度ではないため、利用には専門家への確認が必要です。
【まとめ】マルタの税制度を理解して最高のマルタ体験を!

マルタの税制は、居住者のステータス(居住地と本拠地)によって課税範囲が大きく変わる、独特な仕組みを持っています。所得税は累進課税ですが、非課税枠や優遇措置があるため、EU内では比較的有利とされることが多いです。
特に重要なポイントは以下の3点です。
- ステータスの確認: 自分が「マルタ居住・非マルタ本拠地」に該当する場合、マルタ国内に送金された海外所得のみが課税対象となる点が最大のメリットです。
- 二重課税の回避: 日本とマルタの間には租税条約があるため、適切な手続き(外国税額控除など)を行うことで、税金を二重に支払う心配はありません。
- 手続きの徹底: マルタで収入を得る場合は、TINの取得と毎年6月末までの確定申告が必須です。これを怠ると罰則の対象となるため、早めの準備と専門家への相談が不可欠です。
マルタでの生活をスムーズにスタートさせるためにも、自身の経済状況を把握し、余裕をもって税務対策を進めましょう。